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三溪園記念館 The Sankei Memorial

収蔵品案内 美術工芸品

《木製多宝塔》 室町時代前期 宝徳2年銘  【重要文化財】
建造物としての多宝塔を細部にわたるまで忠実に縮小して舎利安置塔に作りあげた木造小塔の傑作です。下層観音開きの戸の内部に方形板を据えて基壇とし、その中央には舎利容器を留めた痕跡があります。下層天井にはめ込まれた板には墨書銘があり、それによると南都住の大工により宝徳2年(1450)に造立されたこと、また安置の舎利容器は蓮台火焔水晶宝珠の容器であったことなどがわかります。記録によると、この多宝塔は明治36年(1903)ころ、奈良法隆寺門前の古美術商である今村甚吉によって三溪のもとに届けられたと考えられます。

《黒漆須弥壇》 室町時代後期 永禄5年銘
黒漆塗の須弥壇に後塀を付した変わったスタイルの須弥壇で、後塀はおそらくあとから備えられたものと考えられます。台座の内部には、「明徳三年壬申十一月廿六日上棟」「多武峯東南院仏壇也、然処春秋生年八十歳之時得是也、永禄5年壬戌六月吉日實英敬白」と墨書銘があり、これは明徳3年(1392)に奈良多武峯の東南院にあったもので、後に永禄5年に「實英」という人物が80歳の時にこれを得た旨が記されています。鎌倉時代の古風な形式を伝える須弥壇として貴重なものです。

《黒漆螺鈿椅子》 明治時代
原家で来客をもてなす時に使用された家具で、明治40年(1907)に三溪自身がスケッチを描いて奈良の古美術商今村甚吉に製作を依頼しています。三溪園にはこの螺鈿椅子30基の他にも天板が朱漆の円卓や八足の角卓などの家具が残されており、いずれも同時代の作と思われます。これらは正倉院の御物などにみられる伝統的な和風家具の意匠を受け継いだものばかりです。洋風化がもてはやされた当時、三溪が示した日本の伝統美術に対する意識の深さを物語る一品です。